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SDGsと食品ロスの関係|フードロスゼロを目標に私たちにできる取り組みを紹介
本来食べられるはずなのに廃棄されてしまう「食品ロス」は深刻な社会問題です。SDGsでは2030年までに、食品ロスを半分に減らすことを目標にしています。食品ロス対策をするために、自分たちでできる取り組みを知っておくことが大切です。
この記事では、フードロスの原因と問題点、フードロス対策として私たちにできる取り組みを詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、SDGsと食品ロスの関係についての理解が深まり、持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。
フードロスをなくす取り組みに関心のある方は、ぜひ最後まで読んでください。
SDGsと食品ロスの関係
食品ロスとは、食品が消費される前に廃棄されることです。食品ロス問題は、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)の中でも、特に目標12番の「つくる責任 つかう責任」に大きく関連しています。
SDGsは、2030年までに貧困をなくし、地球環境を保護するなど17の目標を掲げています。SDGsの目標達成には、食品ロスの削減が重要な要素です。
SDGsの目標12番「つくる責任 つかう責任」
SDGsの目標12番「つくる責任 つかう責任」の具体的な内容は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことです。
生産から消費までのプロセスにおいて、資源の有効活用と廃棄物の最小化が重要だということを表しています。特に食品ロスは、農作物や食品の生産に使われた資源が無駄になってしまうことが問題です。
持続可能な方法で生産し、責任をもって消費することが大切です。
世界と日本における食品ロスの現状
世界全体で毎年約13億トンもの食品が廃棄されています。この廃棄量は、世界の食料生産量の3分の1相当です。
一方で、飢餓に苦しむ人々が依然として存在しており、食品ロスの問題が社会的な不公平をもたらしています。日本でも、毎年523万トンもの食品ロスが発生しているのです。
食品ロスの原因
フードロスの原因は、個人の行動によるものと、企業の行動によって引き起こされるものがあります。それぞれの原因について詳しく紹介します。
個人による食品ロスの原因
個人による食品ロスは、食べ残しによる廃棄や、賞味期限と消費期限に対する理解不足などが主な原因です。また、食品の保存方法の誤りといったケースもあります。
食べ残しによる廃棄
食べ残しは、食品ロスの主な原因の一つです。たとえば、飲食店で料理を注文した際に、食べきれずに残してしまうことがあります。食べ残しは廃棄されてしまい、無駄になってしまうのです。
各個人の食べ残しを減らすことが、食品ロスの削減につながります。
賞味期限と消費期限に対する理解不足
食品には賞味期限と消費期限がありますが、2つの違いを正しく理解できていない場合があります。
賞味期限とは、品質(おいしく食べられる)の保証期限のことです。そのため、期限を過ぎても食べられます。一方、消費期限とは、食品の安全性が保証されている期限のことです。消費期限が過ぎた場合は、安全に食べられないので、無理に食べようとしないことが大切です。
フードロスの削減のために、賞味期限と消費期限の違いを理解しましょう。
食材の適切な保存方法を知らない
食材の適切な保存方法を知らないことで、食品が腐ってしまい、結果的に廃棄されることがあります。適切な保存方法を学ぶことで、各家庭で食品ロスを減らせます。
また、各食材に適した容器や冷蔵庫の設定温度を知ることも大切です。
企業による食品ロスの原因
企業によるフードロスは、加工過程での不良品の廃棄や余剰在庫の処理問題などがあります。また、在庫管理が難しい食品業界では、期限切れによる廃棄が課題です。
規格外の食品は廃棄される
食品業界では、規格に合わない形状やサイズの食品は規格外品として扱われます。そのため、流通の過程で廃棄されてしまうのです。たとえば、形が規格外である野菜やサイズの小さい果物は、市場で需要が少なくなるため、廃棄されてしまいます。
規格外品も、本来は食べられる価値のある食品ですが、見た目の問題から廃棄されてしまうことで、食品ロスが生じてしまいます。食品業界は、食品の見た目や形状に完璧を求める傾向を変えていくことが必要です。
余分に作りすぎてしまう
飲食業や食品製造業では、需要を見誤って余分な食品を生産してしまうことがあります。たとえば、イベント時やピーク時に備えて多くの料理を作り、結果的に消費されずに廃棄されるパターンです。
来店客の予測や在庫管理の精度を高めることで、フードロスを減らす対策ができます。
適切な在庫管理ができていない
スーパーなどの小売店では、在庫管理が適切でないと食品ロスの原因になります。特に、流通過程での適切な管理が難しい生鮮食品では、賞味期限を過ぎてしまい、結果的に廃棄せざるを得ません。
効率的な在庫管理を行うことで、期限切れによる食品ロスの削減が可能です。
食品ロスの問題点
食品ロスが引き起こす問題点は、環境的な問題と社会的な問題の2つがあります。それぞれの問題点について詳しく紹介します。
資源の浪費による環境問題
食品ロスは、生産や流通に使われた資源が無駄になることが問題です。資源の浪費は、二酸化炭素の排出や水の消費といった環境負荷を増大させる原因となります。たとえば、廃棄食品を処理するために、多くのエネルギーや水が必要となるうえ、焼却時に排出されるCO2は地球温暖化の加速の原因にもなります。
食品ロスによる環境問題を解決するためには、地球資源を無駄遣いしないことが大切です。
飢餓と栄養不足による社会問題
世界には飢餓に苦しむ人々がいます。SDGsの2番目は「飢餓をゼロに」が目標です。飢餓に苦しむ人々に届けることができるはずの食品が、日々無駄にされています。また、廃棄される食品の中には栄養価の高いものも多く含まれており、栄養不足を招くことも問題です。
フードロスは、健康や経済面における社会問題として深刻な影響を及ぼしており、解決の必要性が高まっています。飢餓と栄養不足の問題を改善するために、フードロスの削減が大切です。
【食品ロス対策】私たちにできる取り組み
フードロスを削減するためには、企業と個人の両方が取り組むことが重要です。企業が取り組めること、各家庭でできることをそれぞれ紹介します。
企業が取り組める食品ロス対策
企業は食品ロスを削減する取り組みを行うことが求められます。飲食店でできることは、食べ残しの持ち帰りを推進することです。また、フードバンクなどの組織と連携して取り組むことも食品ロス対策になります。
食べ残しの持ち帰りを推進する
飲食店では、食べ残しの持ち帰りを積極的に推進することで、食品ロスの削減ができます。食べ残しの持ち帰りが当たり前の文化となれば、無駄になっていた食品の有効活用が可能です。
環境省は、飲食店でどうしても食べきれなかった料理をお客さまの自己責任で持ち帰る「モッテコ」という取り組みを推進しています。食べ残しの持ち帰りを当たり前にする環境づくりを行い、お客さまにも積極的な協力を促すことが大切です。
フードバンクと連携する
企業が、フードバンクや食品救済団体などの組織と連携することで、食品ロスの削減だけでなく、SDGsの目標達成にも貢献できます。フードバンクとは、余剰食品を受け入れ、必要な人々に寄付する仕組みを提供している非営利組織のことです。
企業がフードバンクと連携するためには、まず地域で活動しているフードバンクを調査し、活動内容やニーズを理解します。次に余剰食品の提供方法や取引条件を協議し、円滑な連携を図ることが必要です。
企業が主体となってフードバンクと連携し、食品ロス削減と社会貢献をすることで、持続可能な社会を実現できます。
個人が取り組める食品ロス対策
個人でも、食品ロスの削減に貢献できます。買い物の際には必要な量を計画的に購入し、賞味期限の管理に注意することが大切です。また、食品ロスについての情報を学び、SDGsの理解を深めるのもいいでしょう。
食材購入前に計画を立てる
食材を購入する前に、必要な量を計画し、過剰に食材を買わないようにすることが大切です。具体的な対策としては、買い物リストを作成することが挙げられます。
また、買い物の際には賞味期限や消費期限を確認することも重要です。計画的な食品の購入によって、食品ロスを削減しましょう。
SDGsへの理解を深める
SDGsの理解を深めることで、持続可能な消費や食品ロス削減の重要性を理解し、行動に移しやすくなります。
SDGsは、地球環境や社会の課題を解決するための具体的な目標を掲げたものです。私たちが行動することによって、世界が良い方向に変わる可能性があります。SDGsの目標に向けて、個人としてできることを考え、実践することで、持続可能な社会の実現に貢献しましょう。
食品ロスについての情報や環境意識を高めるためのさまざまな情報を発信しているサイトもあるので、参考にしてみるのも良いでしょう。
【table source】 飲食店のサステナビリティを支援するウェブマガジン
食品ロスをなくすためにできることから取り組もう
食品ロスは私たち全員が直面している課題であり、持続可能な社会を築くためには積極的な対策が求められます。SDGsの目標に向けて、個人や企業が持続可能な食品の生産・消費を意識し、食品ロスをなくすためにできることから取り組んでいきましょう。
食品ロス削減に向けた取り組みは、地域から国際的なレベルまで多くの人々の協力が必要です。少しずつ進めることで、確実に成果を上げていくことができるでしょう。
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【参照サイト】 農林水産省:食品ロスの現状を知る
【参照サイト】 消費者庁:令和3(2021)年度食品ロス量推計値の公表について